僕は、あの日の夜が頭に残って仕方ないのに、広美は全くいつもと変わらない広美だったこっちが少し照れて、目を合わせづらいかんじだ、
3年に進級し僕達は受験生と呼ばれる様になったが、あまり自分としては、何も変わらない気分だったが、1番信頼している美術の先生に頼んで作ってもらった美術部が認められた事でクラブの時間がある曜日はサボらなくなった。後輩の、千尋と戸山・鍋川が入部してきたのと、先生の独断で部長にされたのも理由の1つだった。美術部とは名ばかりで、はじめの20分くらいは課題の石膏像やデスマスクをデッサンするが、あとは好きな漫画等の絵を書きながら雑談していた。千尋たちは「フラドリ」に連載されている、「アウトボーイズ」が好きみたいでいつもそのキャラを書きながら今週のストーリーや絵の話をしていた。後の部員も幾つかのグループで好きな漫画やアニメの話をしていた。10数人なか2人だけが時間一杯真面目にデッサンしていた。
千尋や戸山はシネマショップやブックマニアでチョコチョコ知り合いよく店とかでも話していたので、部でもなんの抵抗もなく1っのグループになっていた。こちらも感化されてアウトボーイズを借りて読んでみたけど結構内容が重かった。キャラが動物に変わり和ますシーンもあるが決してケラケラ笑って読める漫画ではなかったが、その話を千尋と戸山はニコニコ笑いながらいつも話し。笑うと金色の八重歯光るのも気にせず戸山の八重歯は印象的だった。この後輩達の話の流れで夕方に流れるアニメの再放送も見るようになった。
そうこの頃からアニメブーム的な人気が高まりシネマショップやブックマニアも客が増えだし、SFマニア言語道断の会員も増え始めて。会長の魚屋さんも大SF集会と意気込みだしていた。受験生としては勉強な筈が結構こちらの流れに負けて、上映会や集会に顔を出した。千尋も声をかけたがSFまでは・・・でやはりブックマニアに来るぐらいだった。
ある集会日「受験生でこんな馬鹿やっての僕だけかな~」とつぶやいたら
「兄ちゃん私も受験生だよ~」と笑う背の小さな子がいた。舞村鶫、同い年に見えなかった。 「気にしな~い!受験なんて力が無かったら落ちる!だから私は公立しか受けないし」笑いながら言う。そうキッパリ言われると、ノホホ~ンと構える僕は少し心配になった。「私んちは家の前の溝一つで市外なんだぞ~」と自慢げに話す。よくよく話すと映画の趣味とか僕と一緒で、集会やシネマショップで会うとよく話す友人になった。学校ではクラブ終わればシネマショップと趣味に走っているうちに季節は冬、魚屋さんも合格まで出入り禁止!と言われる始末。なじみの映画館にも顔が知られている為行けない状態で仕方なく家で勉強していた。
冬休みに入る終業式担任がのたまう!正月に合格祈願に学問神社迄走るぞ!「岡ポン以外に走る奴手を上げろ!」爆笑「何で俺だけ決まりなん!」「走らんとお前は落ちるぞ!」俯き顔上げて「神頼みしかね~か」笑い、そんな中「あたしも走るかな?」神田広美が立った。数人も手を上げた。「ほらほら自信がね~のは参加しろよ!」倍に増える。「いいな~紅白観て年越し蕎麦食ったら寝るなよ!元旦2時校庭集合!」は~ため息の渦のまま冬休みに突入した。
「おめでと~」「おめでと!」フラフラと集まる走行メンバー思ったより寒くないのが救いだった。みんな言われた通り動きやすいカッコでリュックに着替えのスタイルだった。3クラスで35人が走り出す。国道から折れ空港の滑走路のライトが綺麗に光る1本道を走る。「まて~」「アッキーがまた遅れた」何度目だろ?みんな止まって待つ、走りなれているのか足踏み待ちの奴もいる。アッキーがボロボロで追いつく。「ここで10分休憩!」担任が点呼して座り込む。「あ~アッキーに救われた!私もダウン寸前」広美が座り込む。「おれもダウン!」水を飲んでると、「あんまり飲んだら後走られんよ」広美が言う「ん~やね」立ち上がり背伸びをした。「そろそろ行くぞ~」担任が叫ぶ!「元気いいな~35歳」誰かがつぶやく「んなら負けるなお前らの倍だぞ!」「あと半分だ!スタート!」本当に元気だな、と思った。
学問神社に着く頃には朝になっていた、薄っすらと曇り初日の出は無理そうだ、お参りをして現地解散。先生達は御茶屋で一杯だ、早々と帰路する人、おみくじやお守り買う人・お土産屋を散策する人バラバラになっていた、俺は久し振りの運動で疲れていたので池の淵の石に座り、参道の赤い橋を行きかう人をぼーっと見ていた。どれ位たったのかウトっとしていた。寒い!風邪をひいてはヤバイと学校神社に頼んで用意してていた部屋で着替えて帰る事にした。
帰りの電車の切符を買ってホームで電車を待っていると、背中を突かれた、振り向くと広美が笑っていた。「あんな所で寝たら風邪引くぞ~」もう1度今度はデコを突かれた、電車が入ってくる、初詣でかなり混んでいた。扉が開き押し流される様に車内に、丁度左右の扉の間車両の真ん中辺りに流された、身動きが取れないほどでは無いが混んでいた。電車が動き出し、少し車両が揺れたふら付き流される広美の腰に手を回し抱きとめた。「大丈夫?」「うん・・」「しっかりつかまえといてね。」少しうつむき上目使いで呟く広美。「ん」彼女の腰で右の手首を左手で掴んだ。「今は・・・今は受験・・私達大事な時だからね」「ん~」俺は手を少し上げ彼女のリュックを少し持ち上げてた。「ありがとう・・」
電車は乗り換えの駅に着いた。また人の流れのまま車外に流される、
「今日私、婆ちゃん家に行かないけんからこっちなんよ」
「きつけてね!寝とらんけん寝過ごさんごと!」
「そりゃあんたやろ~」笑う広美。
「大丈夫!福岡駅は終点やもん」
「そやね~なら学校で~」
「ならね~」
そうして学校が始まっても話す暇も無く試験休みに入り受験日も終わった、
2月14日合格発表の日、本当は発表を見たら学校に戻らないといけないのだが、そのまま入学書類を貰い俺は家に帰った。夕方玄関に誰かいたので、担任怒って来たか?と思ってドアを開けると、千尋が立っていた。
「これチョコ貰って下さい」
「えっ?」
「きょうはそれだけ、じゃ・・・」
足早に千尋はかえった。
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